戸籍とは何か?
戸籍とは
☘戸籍とは
「戸籍」は日本国民一人ひとりの親族的身分関係を登録し、かつそれを証明するものです。
日本国民の登録と証明ですから、日本に居住している外国人は戸籍に記載されることはありません。日本に帰化することにより戸籍に登録されます。逆に海外在留邦人は、外国に居住していても、その国の国籍を取得しない限り戸籍に登録されたままです。
戸籍法は、これまで何度も改正され、記載事項や様式などは昔と比べると大きく変わりました。
古い戸籍にしか記載されていない事柄などもあり、記載されている親族数(これを編製単位といいます)も様変わりしています。
☘戸籍の編製単位について
現行戸籍法(これを現行法といいます)では、原則として一組の夫婦とその夫婦と同じ氏(苗字)を同じくする未婚の子を単位に編製されます。ある夫婦と縁組をした養子も、養親と同じ氏を称しますので、実子と同様ということになります。
一方、旧戸籍法では、旧民法の「家」制度を基礎としていたため、家が編製単位の基準となっておりました。つまり、家長としての戸主を中心に、これに従う戸主の親族とその配偶者で編製されていました。
そのため、現行法による一つの戸籍に一組の夫婦と子だけでなく、戸主夫婦と子、戸主の父母、戸主の兄弟姉妹とその配偶者および子、場合によっては、叔父夫婦と子のように、複数の夫婦と子という大家族で編製されました。
☘現在戸籍とは
「現在戸籍」とは、現に在籍している者がおり、使用されている戸籍のことをいいます。戸籍は、本籍として届け出た市町村の「戸籍簿」に綴じられて保管されます。
☘除籍とは
「除籍」には、二つの意味があります。一つは、婚姻、養子縁組、死亡などにより、戸籍から除かれることをいい、もう一つは婚姻、養子縁組死亡などにより、最終的に在籍者が誰もいなくなった戸籍のことをいいます。戸籍の種類としては、後者を指します。
戸籍簿に綴じられて保管されていた戸籍は、在籍者が誰もいなくなると、戸籍簿から除かれ「除籍簿」に綴じられて保存期限まで保管されます。
保存期間については、ホーム「家系図はいつまでに」をご参照ください。
☘改製原戸籍とは
戸籍の様式が法律または命令によって改められた場合、従前の様式で編製された戸籍を新しい様式に改めるための編製替え(作り直し)が行われます。これを「戸籍の改製」といいます。この改製による従前様式の戸籍を改製原戸籍(かいせいげんこせき)といいます。役所の職員は「はらこ」と云ったりします。
戸籍の変遷
☘戸籍の起源と種類
戸籍の起源は古く、制度として確立されたのは大化の改新後、670年に「庚午年籍(こうごねんじゃく)」と呼ばれる制度が制定されました。当時は、課税、賦役、徴兵等を目的としていました。現在の戸籍は、日本国民の身分関係を登録し証明することを目的としており、この全国民を対象とした近代の戸籍制度は、明治4年(1871年)に「戸籍法」が制定された「明治5年式戸籍」からです。
それまでの戸籍は、例えば、京都府戸籍仕法や東京府戸籍編製法という制度は存在していましたが、記載内容が統一されておらず、各地それぞれのやり方・様式でバラバラでした。この法律により、地域ごとに作成されていた戸籍を、全国統一の戸籍として誕生しました。以降、時代とともに法律が改正され「明治19年式戸籍」「明治31年式戸籍」「大正4年式戸籍」と様式・書式も変わってきました。
この明治5年式戸籍から大正4年式戸籍を「旧法戸籍」といいます。これに対して昭和22年に公布された新民法に基づき改正された戸籍法が昭和23年に施行され、以降に作成された戸籍を「現行戸籍」といいます。
現行戸籍の原本(紙戸籍)は、戸籍法施行規則に従い、各市町村でB4判の丈夫な紙に記録し調製することになっていましたが、平成6年の戸籍法一部改正により、磁気ディスクに記録して調製できるようになりました。これが戸籍事務のコンピュータ化です。
☘明治5年式戸籍〔壬申戸籍〕
明治5年式戸籍は、明治4年に日本ではじめて制定された戸籍法に基づく戸籍です。施行の年が壬申(みずのえさる)の年だったので、「壬申戸籍」(じんしんこせき)とも呼ばれています。
しかしながら、明治4年の戸籍法は不備が多く、多くの機能(印鑑証明、地券など)を持たせたことで、複雑でした。また、法律は全国統一ですが、様式が定められてなく、必要限度の要件さえ整っていれば良かったことから、地方によって書式の詳細に格差が生まれ、問題の多い戸籍法でした。
その記載要件には、「居住地(本籍地)で戸(世帯)を単位として一定方式によって戸籍を編成すること」のほか、「族制-華族、士族、平民による身分登記の確立」というのがあり、族称・家の職業・宗旨である寺・氏神・犯罪・戸主の印鑑・田畑の面積・牛馬の頭数が登録される戸籍もあったようです。
特に問題があったのは、江戸時代の職業・身分に関することで、明治4年に「賎民解放令」で穢多非人等の身分は廃止され、平民として編入されたにもかかわらず、一部地域では戸籍に新平民や元穢多、元非人等と記載されてしまっていたようなのです。
このように明治5年式戸籍は、一部に身分差別的な記載があるため、現在はたとえ権利者(子孫)であっても一切閲覧することができません。
☘明治19年式戸籍
現在取得可能な中で、最も古い様式となるのが明治19年式戸籍です。
戸主※と、その戸主と関係がある家族の「家」の単位で構成され、その直系・傍系の親族を一つの家族として記載してあります。
明治19年式戸籍では孫やひ孫、兄弟の妻や甥姪、更にその子どもなど、非常に多くの人物が記載されているのが特徴です。主に、出生・死亡・婚姻・離婚・養子縁組といった事柄の記載があり、失踪者の帰還、家督相続の変更、族称の改称、勘当等が記載されている場合もあります。
この戸籍が入手できれば、坂本龍馬、土方歳三、高杉晋作、勝海舟、西郷隆盛などなど、歴史の教科書でもよく目にする偉人の方々が駆け抜けた江戸後期、幕末のご先祖様のことが判明します。家系図を作成する上で最も入手したい戸籍でもありますが、昔の戸籍は保存期間が50年や80年等のため、自治体によっては廃棄されて既に存在しない場合があります。
保存期間については、ホーム「家系図はいつまでに」をご参照ください。
※戸主とは---旧民法の制度で、家の統率者・支配者の名称。
一家には必ず一人の戸主がおり、祖先の祭祀と家の財産とを承継し、家族の婚姻等に対する同意権、家族の居所指定権等の法的権限をもっていました。
戸主については下記のページで詳しくご説明しております。
参照ページ 戸主とは-家制度と戸主権
☘明治31年式戸籍
明治31年7月16日から大正3年12月31日に編製された戸籍です。
その特徴は、新たに「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄が追加されたことです。「いつ」「どのような理由で」戸主になったのか、ということが明確に記載されています。
明治31年の戸籍法改正では、戸籍の目的を「身分の公証」として、これまでの様式と比較すると父母の氏名(特に母親)や続柄、出生年月日なども明確になりました。
ところが、明治31年式戸籍は後述のとおり、大正3年の戸籍法施行(大正4年1月1日)により編成替えすべきところ、同法184条1項の規定で、新法の戸籍として効力を認めたことから、直ちに改製する必要がありませんでした。
そのため、各自治体での対応はまちまちで、大正4年以降もそれまでの戸籍様式のままというところもありました。
☘大正4年式戸籍
大正4年式戸籍は、大正4年1月1日から昭和22年12月31日に編成された戸籍です。
記載された家族一人ひとりに「両親」「生年月日」「家族の中で占める位置(二男の嫁、孫などの戸主との続柄)」などが記載されるようになりました。また、これまでは戸籍吏や戸籍役場が戸籍を管理していましたが、大正4年の戸籍法改正によって市町村役場が戸籍を取り扱うこととなりました。
明治31年式戸籍にあった「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄が廃止され、戸主に関する情報が最初のページを大きく使って記載されるようになりました。そのため、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」については戸主の事項欄に記載されるように変更されました。また、「家族トノ続柄欄」は、明治31年式戸籍の戸主以外全てに設けていた様式から、必要な場合のみ設ける形式になりました。
☘昭和23年式戸籍
終戦を迎え、それまでの制度から大きく生まれ変わります。
日本国憲法が制定され、民主主義や男女平等、人権保護などを主軸に各種の法律は様変わりし、民法改正に伴い戸籍法も全面的に改正されました。大きく変わった点は、従来の「家」を基本単位とする戸籍から、「夫婦とその間の子」を基本単位とした編製になったことが挙げられます。一つの戸籍に入るのは、夫婦とその子(未婚)までとなったため、祖父母や兄弟姉妹、叔父叔母、甥姪、孫などが同じ戸籍に入ることはできません。
また、「戸主」制度は廃止され、「筆頭者」となり、また華族、士族、平民、新平民などといった身分事項の記載も廃止されました。
戸主はその家の中で多大な権限が与えられていましたが、筆頭者はその戸籍の一番最初に書かれている人のことで、特に法的権限は与えられていません。
大正4年式戸籍までの場合は、戸主が死亡すると新しい戸籍へ編製していましたが、昭和23年式戸籍からは筆頭者が死亡してもその戸籍内の誰かが生存していれば戸籍が新しくなることはなく、その戸籍の筆頭者は亡くなった人のままとなります。
「筆頭者氏名欄」のほかに、「戸籍事項欄」を新たに設けて、その戸籍の編製日・消除日が記載するようになったため、いつからいつまでの戸籍を容易に判別できるようになりました。
戦後の混乱期でもあり、また明治19年式から大正4年式までの変遷とは違い、大幅な改正であったことから、実際に戸籍簿が改製されるのは昭和32年頃から昭和40年頃にかけてとなりました。
つまり、それまでの戸籍を一斉に全て作り替えることはできないため「従前の戸籍については、新法施行から10年経過して改製されるまでは新法戸籍とみなす」とされました。10年後から順次全ての戸籍を新しい様式に作り替えていきましたが、その際古い戸籍には「昭和32年法務省令第27号により昭和○年○月○日新たに戸籍を編製したため本戸籍削除」と記載し、欄外に「改製原戸籍」と表示することによって、新しい戸籍が作られたことを示しました。
☘平成6年式戸籍
近年よく目にする、コンピュータで入力された横書きの戸籍です。
平成6年に戸籍法が改正され、戸籍事務の電算化が始まりました。それまで手書きが主だった戸籍の処理をコンピュータ管理するようになったのです。これまでの縦書きだったものがA4判横書きとなり、現在私たちが利用する様式になりました。
電算化については経費と労力が必要となるため、必ずしも実施しなければならない訳ではなく、財政的な理由もあり電算化されていない自治体もあります。
電算化された市町村の場合は「現行戸籍」=「平成6年式戸籍」となり、昭和23年式戸籍は「改製原戸籍」となりますが、電算化されていない市町村の場合は「現行戸籍」=「昭和23年式戸籍」です。
平成6年式戸籍から「戸籍謄本」を「全部事項証明書」、「戸籍抄本」を「個人事項証明書」と呼ぶようになりましたが、内容に変更点はありません。
なお表記については、戸籍事項欄・身分事項欄は、コンピュータ化前は文章形式で記載されていましたが、コンピュータ化戸籍では事項ごとに項目化し(例えば身分事項なら出生・婚姻・死亡など)、その項目について内容を簡潔に記入することになっています。
いかがでしたか?
以前と比べると、戸籍の内容が大きく変わっている事に驚きます。
貴重な情報源である古い戸籍、そこにしか記載されていない事柄が大変多くあります。戸籍の保存期間経過に伴う廃棄を免れるためにも、戸籍の取得は早いに越したことはありません。当事務所では、戸籍調査で得た戸籍の原本は全てクリアファイルにお入れし、家系図と共にご納品いたします。また、戸籍はスキャンし、電子化したものをUSBメモリにお入れしますので、家系図と共にいつでも閲覧可能です。
疑問や質問など、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせ下さい。
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